かつて友人と毎週末下北沢をぶらつき、ランチを食べていました。ほとんどはパスタをたべにいったけれども、たまたま焼肉屋さんのランチに行ったときのこと。
彼女は、ロース。私は、カルビ定食を注文。ご機嫌に食事をしていたとき、私がカルビ肉をとろうとすると、なぜか焼き網の隙間から下へずるずるとおちていき・・・・。箸で肉の端をつかんだまま「どうしようと」とつぶやくと。「持ち上げればいいでしょう。」と友人。そう、持ち上げようとすれども、網のふちにひっかかりなぜか上にあがらない。手がへんになりそうなので、もういいや。と思うのだけど、貧乏性の私。迷う。迷う。
見かねた友人は、「下へ落としてお店の人に網をとってもらい肉を拾えば。」と。「下には、水がはってあるのだけど・・・。」私の言葉に焼き網の下をのぞきこんだ友人は、急に態度がかわって。「落としちゃだめよ。かわるからちょっと休みなさいよ。」と私の肉をつかみ持ち上げようとする。でもあがらない。席を立ち上がって上にあげようとするがあがらない。
彼女のロース肉は、こげていく。私のカルビ肉をつかんでいる彼女の箸もこげていく。それでも、あきらめない。ありがとうすばらしき友情だ ! 彼女の手も疲れていく。
順番交代とばかりにまた、私が肉をつかむ。肉は、相変わらず、上にあがりそうであがらない。焼き網の隙間で、じりじりとしている。
何度か、カルビ肉を交代でもちながら四苦八苦。
そうこうするうちあら、不思議。急に肉が上にあがりました。これで貴重な一切れを落とさず、食することができました。
一緒にがんばってくれた友に感謝。感謝。
月日は、ながれ。
そんな彼女は、私をのこして遠い遠い星になってしまいました。
今は、二人の間でかたりつがれた焼肉事件を共に思い出して笑うことができなくなったけど。ここに記して見知らぬ誰かと分かち合います。